※激しくネタバレ注意。
※視点が片寄っています。ヒロイン空気。
※同性愛表現あり。





リュック可愛い！！
仔うさぎちゃんにしか見えない……！

端的に言うと、恋人アリスに騙され流され殺人を犯した青年・リュックが死体を埋めに行った先で出会った男に、アリスもろとも監禁されるお話でした。

最初は、直情的で単純なガキにしか見えなかったリュック。
恋人であるアリスとともに青年を殺し、浅はかな気持ちで犯罪を重ね。
キレるしバカだし、意志は弱くてあっけなく流される。

アリスに流され騙され人を殺すし、森の小屋で出会った男に監禁されてはそのうち流されていくし。
男に情が移ってきたかと思うとアリスにそそのかされて殺そうとする。

しかし物語も後半になると、ゆっくり彼は変わっていきます。
最後には男を刺そうとするアリスを止めるし意志を固めるし、何より巻き添えになって男が警察に捕らえられたとき、男は関係ない！！　と必死になって叫ぶ。

繊細さをうかがえるシーンもありました。中盤頃には、青年とアリスが深く情熱的にキスをしているさまを見て静かに苦しい涙を流すシーン。
アリスを閉じ込められ、「男になったら２人とも帰してやる」と言われて始まった生活では、追い詰められたうさぎちゃんのように怯えていたのが段々と幼さをうかがわせる純粋で素直な表情になっていき、あれだけ怖がっていたのに男に対して心を許していくのが感じられます。
男のもとで学び癒され。
まあ、アリスにも許さなかった、むしろ拒否していたコウイをほぼ強制的にとはいえ無抵抗で許し、イカされ、そのしばらく後ではアリスの示唆のせいではないでしょうがとうとう最後まで情を交わしてしまいます。

ある意味男になり、女にされた……

直接的ではないですが、所々に想いが見えるような、雰囲気で感じていく映画でした。
アリスは終始感情的で身勝手な女だなぁ、と思って結局はそれだけだったのですが、代わりにリュックと男の細やかな描写が処々に感じられて良かったと思います。
男の前で見せるリュックの穏やかな表情。
鍵を盗ったにも関わらず、小屋から逃げ出した後も紐付きの首輪を外さなかったこと。
アリスが警官に殺されたときよりも、男が逮捕されて警官に蹴られていたときの方が必死なように見えたこと。
強面な男が口元を歪めたり眉を上げたりして偶に見せる表情の変化。
最後に視線を交わしたときの、リュックを安心させるような挨拶するような顔つき。
リュックのアリスへの愛は確実にあって、その気持ちは間違いなく本物。
ですが、恋とは違った、とても深い絆を感じました。